もろみ酢物語
もろみを健康食品にすること。はじめ、それは不可能なことに思えました。
もろみ酢製造の発端は、焼酎粕の廃棄処理が問題化したことにありました。海洋投棄などの処理方法が規制されることになり、色々な活用法の模索がつづいていました。
そうした中、鹿児島大学農学部の農場で飼料として試したところ、牛の肉質がよくなり、子牛(胎児)の発育が早くなったという話が聞かれました。成分分析してみると、確かに栄養価が高い。機能性に価値がある。
これは、体によさそうだ・・・。研究室室長の池田は考えました、「健康食品に応用できれば処理の問題も解決し、健康にも役立てる、まさに一石二鳥だ。」健康食品への応用という課題は、こうして生まれたのでした。
焼酎粕は95%が水分原料のさつま芋に由来する繊維質が多く、「搾る」のがとても難しく商品化は困難というのが、一般的な考え方でした。
がんばらなくていい、そのままでおいしく飲める酢を。
鹿児島大学農学部と九州沖縄農業研究センター、そして田苑酒造の3者で開発がスタートします。
固液分離。最初の課題は「搾る」こと。莫大なコストをかける遠心分離器での分離は現実的でないため、「麹」を使っての分離に成功しました。まず、さつま芋の繊維に入り込んでいる水分を、麹を用いて搾りやすい状態にし、吟醸酒を製造する際に用いる圧搾機を使うのです。
ようやく試作に取りかかることが出来ましたが、やっと出来た試作品を飲んだ社員たちから「まずい」「飲みづらい」という意見。一言でいえば「不評」でした。
焼酎造りの智恵と、田苑酒造の心がこもった商品、もろみ酢
飲みやすい商品にする為に焼酎造りの智恵が生かされました。すなわち、もろみに米麹を加えることによって、デンプン成分を糖化させるという方法でした。添加物ではない、自然の甘み、旨みを引き出すことに成功したのです。
この米麹から発生したクエン酸は、さまざまな機能に加え、酢酸のような刺激がなく、味もレモンやミカンなどの柑橘系に含まれる酸なので、口当たりが抜群にいいのです。社員からも「これならいける!」と太鼓判を押してくれたときの感動を、池田はいまでも忘れられないといいます。
3年もの間、開発規模の大きな商品だったこともあり、社内の各部署から人手を集め、社内のみんなで関わり、みんなでつくった商品。「もろみ酢」は、田苑酒造のすべての社員の心がこもった商品といって過言ではないのです。
良質であることが、田苑酒造の約束。自信がなければお勧めしません。
現在商品化され、各方面から絶賛の声が寄せられている「もろみ酢」ですが、製造の面では細心の注意がはらわれています。
原料となる焼酎の製造には優良なさつま芋とされる黄金千貫(鹿児島県産)のみを使用。良質で新鮮なものだけを手作業で大きさを揃えることで蒸すときのムラが出ないようにし、旨みと甘みをつくる米麹は、焼酎同様「良質な麹」を使用。また、栄養豊富なもろみ酢だけに、できたらすぐに加熱殺菌して瓶詰めします。
防腐剤は一切使用しません。完全な無添加です。「お客さんに安心してもらいたいと思って、無添加にこだわりました(池田)」。
各種アミノ酸や、ポリフェノールを含む「もろみ酢」。機能とおいしさの背景には、田苑酒造の、商品にかける情熱とこだわりがあるのです。
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